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糸の色替え

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2月に載せたブルー手染めのウォレット記事の中で、メンテナンスを兼ねた加工の依頼を受けていたことをお伝えしていました。
このお財布のユーザーさん、青が好きなんですね。それで最初に製作依頼を受けたときに革の色と共にステッチ糸も青系でとの御相談も受けていました。
青色系で御用意できる麻糸と化繊糸の質感・堅牢度・発色などの特徴を説明しまして、その時は化繊糸の青をお選び頂きました。
仕様のご相談の時に最後まで悩まれていたので、一つの方策として「もしお気に召さなければ、あとで糸の縫い替えが可能ですよ。」とお伝えしていたんです。

そして一年経ちまして御連絡頂いたというわけです。

納品以来とても気に入っていただいてるようですが、普段からオイルメンテナンスを多めにされていたことで、通常の状態よりもかなり短い時間で色が大きく変化し、
納品時に比べると黒革か?といえるほどの濃い青に育っていました。
それで、革の濃さと発色の良い青糸のコントラストが気になられてきた御様子。
色と同時に麻糸への御興味もとてもあるようで、紺色の麻糸への糸替えの御相談を頂きました。

トップ画像は施工後の物になります。鮮やかなブルーから蝋をタップリ含んだ紺の麻糸に縫い直し、革との統一性も感じられるようになりました。

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糸替の様子です。
元のブルー糸もとてもキレイで濃紺の革との相性も良い感じでした。
使用期間がまだ一年ですし大切にお使い頂いていることもあって、コバの状態も積層の接着に関しても状態が良かったので今回は全バラにはせず、ほどいた箇所からを少しづつ麻紺糸に替えるように、ブルーステッチをほどいて、また縫い進みを繰り返す作業でした。
なので画像には二色の糸が写っているわけです。

うちで作る製品は、出来る限り修理が可能となるよう設計と施工で各部対策しています。
まず縫い糸のラインの下は、堀を入れるように革を凹ます加工をしています。こうしますと縫い引き締めた糸が断面で言うと半分ほどが革面に沈み込んだカタチになるので、何かと擦れあっての糸切れを抑止できます。
更に深く専用の道具で堀を切りこむこともできますが、細い線状の切り込みでも革の強度が落ちてしまうので、ストーヴル工房ではどうしても必要なところ以外は凹ます加工で対策しています。
ディテールの薀蓄の意味で堀を深くし過ぎて革と面一にしたとしても財布自体の耐久性をを落としてしまうことになりかねません。糸自体はフレキシブルですし、縫い替えが可能な方策をとっておけばもし糸切れが起こったとしてもメンテナンスのタイミングでお直しできると考えます。

それに太番手の糸の凹凸を手で触れて感じられるのも、手縫い製品の良さだと思うので、少し手で糸の存在が感じられるように縫いの箇所によって糸の沈み込み具合は調整しています。
この糸の存在感という部分が、ミシンや量産品との違いなのかもしれません。一度しっかり作られたハンドメイド品を御知りになるとミシンや量産品の針目や糸の表情が物足りなくなられる方もいらっしゃると思います。
私自身元々ミシン踏みでしたが、糸や針目の質感は物足りなく感じてしまいます。より効率的な生産方法を知っている自分がこのお仕事や製法を続けているのは、この部分が一つのポイントにもなっていると感じています。

また、針穴まわりのことだけでも細かく見ていけばいくつもの勘所が存在するですが、「穴と穴との間隔と穴の大きさ」があります。ピッチが近すぎると頑強な革といえども長い目でみれば切り取り線となり革が裂けてしまう可能性もありますし、逆に広すぎると革と糸との追従性も悪くなるばかりか、みためにも品のない物にもなってしまいます。

穴の大きさは糸の太さや素材、チカラの掛かりかたやピッチの間隔とのバランスによって調整し変えていきます。これらの対策をしておけば自ずと耐久性も上がりますし、もしいつか修理や分解メンテナンスが必要になった時にスムーズな施工が可能となります。

今回はもちろん何事も問題なく糸替えが完了しました。
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元々のブルーステッチもきれいで個人的にはすきでしたが、今回の紺色のステッチも良く馴染んでいると感じました。
お客様からも理想通りの物に仕上がったとお言葉をいただきました。ありがたいですねぇ。

今回の加工は希なケースではありますが、あとで異なった色や素材に変えてみたいとお思いの場合も、手縫いといいますかストーヴルの製作方法ですと革を傷めずメンテナンスや修理が可能です。

実際、修理は殆どというかまったくありませんが、
どんなに対策しても壊れるリスクと耐用年数はございます。


革製品を簡単に無責任に「一生物」とはいえないこと
御理解くだされば幸いです。



Λ.今回のお財布は多めにオイルメンテナンスが施されていました。
過剰でなければ、乾燥状態が続くより悪いことではないのですが、油分補充は程ほどにお願いしています。
油分補充による色目の変化の早さからか、多めにしてしまう方がよくいらっしゃいます。
体温や紫外線の影響だけでもエイジングは進みますし、革自体が内包している成分から色づきやツヤが出てくることが多いので、使われることが良いエイジングへの近道です。

この個体は染色用に少し厚めで堅い革をつかい、後染めの影響でより堅めに仕上がっていたことから、お客様の判断で補充されていました。(以前書いた私の染色斑の対策もあると思います)
今回の個体は元の革が堅牢で厚かった分、革自体が油分を多く受け止め製品としては問題なくはありましたが、通常では多すぎる油分補充は型崩れや色目の変化に現れたり、触感的に油っぽい仕上がりになってしまいます。
また艶感がなくなりマットな仕上がりになりますので、御注意ください。

今回は若干マットな状態になってきていたので、当分の間は乾拭きのメンテをお願いしています。
また艶だし効果のあるメンテ剤も御紹介しまして、現在は状態よくお使い頂いているようです。











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by stovlGS | 2015-05-31 04:48 | Comments(0)

表情とか

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良質なところしか使わないと当たり前のことを繰り返し書いてきましたが、それは断面と裏面の繊維の絡みかたがしっかりしていることを主に言っています。
それはなぜかというと繊維が粗くあまい状態だと使用しているうちにフカフカとほぐれ気味になってしまうのです。
そういったテイストの製品ならばそれも良いでしょうが、ストーヴルの作りでは堅牢性も一つの持ち味ですし、やれてボロッとなったものを味と表現したくありません。
締まった革で作られた物は使いこんで小馴れてきたときの在り方が全く異なります。これは革の堅さ柔らかさに関係はなく締まっているかが重要なのです。
このほぐれづらい繊維状態であるかは製品をつくるうえで最も大切なポイントと認識しています。

今回の表情という部分は、表面に現れるシワやウネリのようなところ。
革って元々生き物ですから、部位や革の個体ごとによって表面の状態が異なります。

トラと表現されることもあるこのシワ、ショルダーからネックにかけて前半身側に現れることが多いのですが、その個体の年齢や大きさ・個々の肌質などでも現れ方はマチマチで全ての部分に入っていることもあります。

使用する革を適材適所つかえるよう裁断・配置することを重視し施工していますが、内部断面と裏面の状態だけで判断していくと表面のトラ部分にかかってしまうこともよくあります。
平滑でシワの全くない面を指定される場合を除き、色味や全体のバランス・配置箇所の可動部分か否か等、美しくたりえると判断した場合には、製品に入れ込むカタチで製作しています。

ストーヴルとしての見解でいえば、そのほうが表情が加わりレザー製品としてより良くなると感じています。
加工ではなく自然にできたシボですから、繊維状況が良好であると確認できた革に関してみれば風合い・質感ともに雰囲気ありと認識しています。

画像の個体は少し深めにトラが入った状態ですが革質自体は最高の部位でした。作り手として良質な部位と言いきれる革だったので、御注文主に了解をとり入れ込んでみました。
光の当たり具合で、より深くはっきり見えると思うのですが如何でしょうか。

※毎回裁断に際し大きな半身の革のなかで存在も多く困ってしまうのが、表面は平滑でキズ・スレ・シワが少ないのに裏面と内部・断面の組織が粗くて締まっていないところ。一見は上辺だけはキレイな革ですが、本来は可動し・強度を持たせるところには使えない革です。
世にある大量製産品や安い革製品はそのまま使われていたり軟質な樹脂を染み込ませて、ほぐれづらくして作られている物も散見されます。素材の部位選定に関しては作り手やメーカーの考え方によっても変わってくるところなので何が正解かはありません。
ただストーヴルでは現在の技法と製品構成上、それを良しと認識していません。

素材となってくれた牛や馬にたいして失礼な物言いになっていますが、どこか一部分でも宜しくない部位を使ったことで耐用年数が減ったり、傷みやすさを感じたユーザーさんが嫌になって早めに廃棄されることを想定しますと、素材には申し訳なく思いながらも良質ではないと判断した部位は端材と捉え製品には使っていません。
それら端材革はサンプル検証や他の用途で使っています。


表情については他にも説明したい部分が沢山あります。
キズのこととかウネリや革目の流れのことなど。分かりやすい画像がありましたら説明します。


Λ.やっと少しだけ余裕が出てきました。また少しづつ連投出来るようウズウズしています。

あと皆さんの気になられている価格についても、そろそろ記さなければですね。

今後ともよろしくです。












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by stovlGS | 2015-05-28 14:47 | Comments(0)

stovl GS rear bag 雑感

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ここ最近はウォレット類とともに、GSリアバッグも作っています。
上の画像はその個体ではなくて、昨年80GS専用に開発(少し大げさな表現ですが、そんな取り組み)して作った二つ目のもの。
GS用の各種リアバッグについては他の製品以上に作るたび毎回どこかが変わっています。
大きく仕様を変えなくても、1ミリもしくは2ミリ寸法を変えただけでも印象と使い勝手が全く違ってきます。その個体ごとの個性といいますかね。二つとして完全に同じものはありません。

堅牢な厚いヌメ革といえども、元々牛さんは平面ではないですし背の引き締まった密なところもあれば大腿部のように繊維は密でも筋肉の流れにそって立体感があるところ等、革の方向性を見究めないと伸びが不確定で硬さや色も鞣しや部位によってマチマチなのです。
だからこそ最初に切り出す時のパターン配置設定と精密な裁断・良質部位の見極めがホント大切。

完成まで何回も何回も直線は直線らしくなるように面取りや仕立て直しを繰り返します。
糸を強く引けばそれだけ革はたわんだり縫い引き締まって三次元的にカタチや表情は変わります。
線やカーブの正確さと共に、元々の動物だった頃の丸みを生かした立体感も大切にに考えています。
合成皮革ではないのです。

おそらくこの牛さんも北米の牧場で数年間育って食肉加工されたのだと思います。
革と成って、生きていた頃の何倍も十倍も長い期間に渡り活きるように使ってもらえるように、バッグや革製品に仕立てます。
そんな気持ちで毎日作っています。牛さんにも申し訳がたつように。

なので、いい加減なつくりは絶対しないですし、時間を掛け最良の物が作れるよう取り組みます。
GSリアバッグ類に関していえば使用する革素材のグレードと大きさや費やす時間・作業難度から勘案しますと正直厳しい状況が発生しています。

そんなこともあり、このバッグばかり作っているわけにもいかず、今現在このリアバッグ類の定まった価格設定はございませんので御理解いただければと思います。


Λ.上の個体までが80専用バッグとして最初期の試作開発の伴ったサンプル製品といえるものです。
現在、80GS専用は全体の雰囲気は継承しつつ更なる各部寸法見直しと大幅にディテールも変更した形になっています。
すべての物にいえるのですが、一品製作や特注品・また定番製品の最初期の物もお客様に納める前の段階で検証版サンプルが存在しますので、完成度が低いということはありません。

製作上の都合や作りやすさを優先にした仕様変更は致しません。
更に良くなるように。その方向から鑑みた変更だけが改善だと考えます。

コスト削減とか効率化の物作りはせずに取り組んでいければと思います。


GSリアバッグ類については現在御注文を受け付けておりません。(2016.2月現在再開検討中)
 ◎製作再開しました。
 






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by stovlGS | 2015-05-07 19:13 | R80G/S・basicバッグ | Comments(0)

お知らせ遅くなりました。

再開しています。

未だ御注文分の製作諸々、落ち着いたとはいえない状況ですので、
返信のレスポンスが遅くなることもございます。

GW中にゆっくりお考えいただいて、連休明けにお問い合わせ頂くほうがスムーズかもしれません。

よろしくお願い致します。
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by stovlGS | 2015-05-04 13:10 | Comments(0)