R100GS 純正バッグ修理 そして完成。

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前回からの続きです。そして、先ず完成画像です。
今回の修理は実物を前にしてから解った事も含めて、幾つかの課題となるポイントがありました。

御依頼されているカブセの裂けの修理。
カブセを固定しているリベット留めをやめ、縫製に変更。
傷みやすいベルトの固定もリベット留めをやめ、ループを製作して通す方式に。
傷んだベルトの新造。

この純正バッグは、ベルトとカブセとバッグ本体とが共にリベットでカシメ固定されています。
そのカシメの位置が非常に良くなくて、リベットが車体のアシストグリップなフレームにちょうど当たってしまうのです(個体差もあるようですが)。
なのでフレームにもキズが付きますし、その位置が原因でバッグ自体がフレームに押されて変形させられる力が常にかかっている状態になっています。
ベルトにも負担が掛かっているようで、角にくる部分は革がささくれだち傷んできています。ベルトの真ん中にリベットの大きな穴をあけているのですから強度的にも良い訳がありません。



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上の画像が修理前のものです。このリベットがフレームへのダメージとバッグ本体の変形等の原因になっています。

a0155648_192789.jpg前回までに修理別作したカブセ部とバッグ本体をリベットの穴痕が隠れフレームとの位置の関係性とバランスを考えながらhand sewnで固定。
リベット固定をやめた事でベルトを付ける為に、カブセ側にベルトループを二ヶ所作りつけ、そこにベルトを通す構造に改変しました。これで車体への負担も減る上にベルト等の補修性においても有利だと思います。

R100GSのフレームの下側には、この純正バッグのベルト専用に鉄製のガイドループが溶接されています。ベルトはそこに通して、バッグ自体はU字形金具で底面内側の穴とキャリア面のフレームとを共締め固定する構造です。 
ベルトは振れ止めとカブセの開きの機能に特化していますから、ベルトを取り外せる方式にしても問題はないと思われます。といっても革の摩擦とループとの寸法差を少なく作っていますので、スルッと外れてしまう心配はありません。

そして解体時に分かった事ですが、純正ベルトの長さが左右で1.5センチ以上違っておりました。
この長さのちがいは、製作時の誤差とするには大きすぎる数値です。推測するに長期間の風雨と熱によって伸びてしまったものと考えられます。ある程度は仕方のないところではありますが、革の選定に問題もあったのではないでしょうか。量産品ではあまり考慮されていない部分ですが、キズや見た目以上に大切な「革の伸びの方向性」。
とくに力のかかるパーツとなる革には、伸びやすい部位を使用しない事と共に、この革の方向性の見究めが完成度というか、道具として革が答えてくれるつくりになるかのポイントになる所。
革には背中心の流れと、その横方向には伸びづらい目があるのです。それとはべつにランダムに伸び易い目が点在しています。 このへんの革の説明は長くになりそうなので、今日はこのくらいに。。
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写真上は今回新造したベルトです。下の純正品も味のある形をしているのですが、プレスカットの為か左右で剣先の形が違っていました。
新造品は左右カタチを揃えてハンドカットで仕上げ。もちろんコバ磨きもしております。

そして最後に、バッグ全体を再度のクリーニングとオイルメンテナンスをして完成です。

a0155648_18452038.jpg今回の製作というか修理は、普段からstovlでやらない構造と他社様製作品というところで、苦戦しながらも楽しめたお仕事でした。

元々、大好きなバイクの専用品ですし、自分の愛車と同型でしたので、確認等のフィッティング作業もしやすかったですね。
純正バッグの良さと課題点も見えてきましたし、デザイン、使用感等を考慮した製作時の勘所も。
GS用バッグの探求は尽きません。

そして今回、再確認できたのは、やはりGSという単車はレザーバッグが似合うダートバイクだという事です。
80年代以降のプラスチック外装を纏っているスポーツバイクにレザーですからね。
そうです!革ってクラシックテイストなバイクの為だけの素材ではありません。

オフロードやロードスポーツバイクにもレザーの似合う車輌は沢山あります。

いろいろな車種や用途の製作物の御相談もお待ちしております。

Λ. 今回、御依頼主のN様に御了承いただき、修理後に残った小さな破れた革材を頂戴しました。
野外活動にも適したレザーの考察を続けているstovlサトーにとっては貴重な資料になります。
  この革も分析しながら参考にして、stovlの考える質感と耐久性と対候性の優れた、オフロードバイクの革製品にも最良最適なレザー、革素材を見究めたいと思っています。

乞うご期待!
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by stovlGS | 2010-12-17 20:17 | BMW純正バッグ修理 | Comments(2)
Commented by 親方 at 2010-12-22 18:21 x
ページを開いた時に、自分のが、出来たんだと想いました(笑)
お疲れさまでした。
さていよいよ私の番か。とプレッシャーを掛けておきます。(嘘です、納得のいくまでやってください)
Commented by stovlgs at 2010-12-23 21:48
親方さん

すみません、まだで~す(笑)
このバッグの用途に適した革素材の研究をしているところです。今月も仕入先や革メーカーめぐりをして探しておりました。
来月、大きな革の展示会があるので全国のタンナーさんからも情報収集してきます。
いましばらくお待ちください。
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