岩魚小刀 シース order

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沢登りや登山をされていてるベテランクライマーS様よりオーダーのシース製作です。
現地で釣った岩魚を裁く時に使用する御愛用の岩魚小刀。

江戸鍛冶の名工であった故二代目左久作氏に、十数年前にオーダーした注文製作品。
古来のタタラ製鉄法でつくられ、材料となった和鉄は300年前の物を使い製作されています。
この和鉄はサビに強く、渓流つり等の用途に向いている材との事。






今回のシース製作にあたっては、シンプルな刀のデザインにあわせて、シースもカブセ等のないシンプルなデザインを御希望です。

使い易さと安全性の両面をバランスさせる為に、

・シースの深さ
・シースとなる革と刃との摩擦と勘合性とのバランス

この2つが今回最大の勘所でした。

ブレードの厚さ分のスペーサーとなる革を縫い代の間にだけ挟み込む方法(断面から見ると三枚構成)も考えました。
しかしながら、スペーサーを入れた場合、刀を革で挟んだときの保持性を考えますと、フラップ等の固定機能のないデザインのシースである事を鑑みた場合、使い易いけれど抜けやすい物になる事が考えられました。

切れ味抜群の小刀です。
万が一、ザックの中でシースからナイフが抜けてしまいますと大変な事態です。これでは安全という部分で問題もありますから、一番シンプルな二枚構成に決定。
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写真にありますように、上がりはとてもシンプルです。
フォーミングをしながら、ブレードとレザーのフィッティングを微調整し仕上げました。
抜こうとしなければ抜けてしまわないように、きつ過ぎず緩すぎずな適度な具合に。

今回は御希望のナチュラルカラーのヌメ革で製作。
工房でストックしていた今は無きタンナーの良質なサドルレザーを使っています。大きさと用途が適合した時、うちの虎の子使う事ありますよ~。

USシニュー糸でhand sewn仕上げしました。
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うちで製作するオーダー製品に全てに近くいえる事ですが、
形になるまでには、頭の中・紙の上・試作という工程があります。
「魂の入れ物」といえるような製作品が多いオーダー製品。

安全性・保守性が大切な物・シンプルなデザインの物は、この工程が更に大切な部分です。

今回の製作も、シンプルゆえに全ての項目でそういう物でした。
カタチ・大きさ・深さ・フォーミング・抜けやすさ等々、いろいろと検討したサンプルを複数製作しました。
革の質や、縫い目の粗さ、荒仕上げ等、見苦しい部分もありますが、参考までに。


Λ. 鱒の虜でもある私ですが。

  Sさんのお言葉に甘えさせて頂き、シース製作前にニジマスを裁いてみました。
  なるほど素晴らしいの一言。あのブレードのカタチ・柄の部分の表面のザラっとした質感、納得でした。
  
  あの刃のカタチは鱒のお腹の中の形とフィットしますし、
  あのザラっとした質感は、鱒特有のヌメリを全く感じさせず手に吸い付くようにグリップします。

  本物を体感する事できました。感謝です。
 



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by stovlgs | 2011-07-01 12:41 | ナイフシース | Comments(2)
Commented by 親方 at 2011-07-01 16:15 x
素晴らしい。
物には、それに相応しい、場が、有る。と考えております。
考えている時間・段取りしている時間で仕事の半分が、決まりますね
で、そろそろでしょうか?(笑
只今、フラット大森にて、神様のチューニングを受けていますが。
Commented by stovlgs at 2011-07-02 18:15
親方さん
ありがとうございます。名品の納め所を作るという事は、とても光栄な事です。その中身の素晴らしさに、少しでも近づけますように。。

神チューニングなGSですね、またチョッとプレッシャー。
がんばりま~す。
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