ロングウォレット ショート コードバン Blue

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前回のlogに少し写っていた青いオイルコードバンを使用したロングウォレット。

カタチは、ストーヴル定番のロングウォレットショートタイプです。
このタイプの解説は、前にも数回書いており重複する部分も多くなりますので、そちらのほうを御覧下さいませ。

今回の製作の御依頼は、以前から載せていますブライドルレザーのネイビーカラーを御覧になり、ブルーカラーのウォレットについてお問い合わせくださり、仕様は勿論ですが、とくに素材と色について御相談しながら進めさせて頂きました。
というのも、ブライドルレザーに関しては手配に時間が掛かりすぎる事と、財布やカードケースなどのレザープロダクト用としてみた場合にstovlの考える構造に即した部位と厚みが供給されていない事などから、ブライドルレザーでの製作を休止しています。
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そして、御紹介したのが、このコードバンなのです。こちらもブライドルレザー以上に最上質で希少な革素材。
おおげさではなく本当に他に代わりの見当たらない質感と表情を持ったレザーなんです。

そして、この色。ネイビーもしくは濃紺といいますか、深く透明感のある鮮やかな部分もあり、照明や日の当たり方によって違った表情をみせてくれる素晴らしい青っぷりなのです。
※画像では、カメラの露出機能の関係で少し明るめに写っているカットもあります。
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このコードバン素材について短く解説します。まず皆さん御存知のように馬革のお尻の部位になりますが、表皮ではないのです。
通常はレザー素材となる表層部分ではなくて、表面の革と筋肉の間に存在する緻密な部分をコードバン層といいます。
そして、このコードバン層は全ての馬の臀部に内包されている訳ではありません。
とくにヨーロッパの農耕馬の物をつかいますが、世界的に農耕馬も少なくなり、専門タンナー(なめし工場)の減少と共に、現在では世界で数社(ほぼ2社で)しか生産されていません。

stovlで通常使用しているサドルレザーやヌメも表情があり耐久性のある革ですが、
それ以上にコードバンは堅牢で美しい革素材です。
馬の体に内包されている革ですから、多くの場合は表皮より薄い物ですが、張りがあり引き裂き強度にも優れる為、製品自体を薄手の仕様で仕上げる事が可能となります。

今回のオーダーは、内側も外側もすべて同素材のフルコードバン仕様です。

市場にある製品の多くは、コードバン製をうたっていても外側だけがコードバンというものが多いと思います。
どちらの組み合わせにも良さがあり、価格と使い勝手のバランスを考えて選択される事をオススメ致します。
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内側の構造ですが、こちらもシンプルなショートタイプの基本仕様となりますので、仕様解説は以前のlogを御覧くださいますよう御願い致します。

上の画像にありますように、芯まで入った染料の特徴で裏側の床面までブルーに染まっています。
個体やロット毎に染まり具合は変わってきますが、表面だけに顔料を吹き付け塗装したものよりも、自然な風合いと透明感が魅力だと思います。
芯通し染めの場合、コバ断面に後で色を入れずに済みますので、後染めの染料のような色落ちや洋服等への移染リスクを軽減することができますし、何より美しい色となっています。

stovlでは、とくに裏地についての御指定がない場合には、裏側の床面に革の裏地の貼り付け加工はしておりません。
この部分は説明がとても長くなるので、また後日別項で細かく解説しますが。
裏地をあてがわず一枚で仕立てたほうが、財布を畳むも反るもフレキシブルに革が動くことが出来ます。一番大切な事は、折りたたんだ時に財布の中心となる可動箇所には、良質で緻密な繊維組成部位を見極め配置する事が最重要だと考えています。
裏面全体を革で裏打ちすることは、実際には補強の意味はあまりなく、とくに堅くて堅牢な革素材の場合は曲げ伸ばしする度に貼り付けた面どうしの内外差によって互いに負担を掛け合うチカラが加わり続け、逆に傷む原因になる事も。
また可動部分に開けたステッチ穴は、常に伸びたり皺が入る力を受け続け、時に切り取り線のように、そこが裂け目のキッカケになる事例も多く見てきました。
常々感じているのは、せっかく組成の緻密な美しい面を選定し配置しても、そこに接着材を塗り込み、革の呼吸を止めてしまう事への抵抗感が私にはあります。
見映えとしてみれば裏地革を付ける事のほうがディテールアップとみなされ、豪華さや手の込んだように見せる効果もあるのですが、考え無しで行った加工では製品寿命を短くしてしまう場合もあります。作り手によっては良質な部位を使わずに裏どめをしてキズや荒さを隠している場合もある事を書き留めておきます。
只、各部の数値と革どうしの特性を検証し裏打ち加工する場合は、良い物が作れると思います。
実際stovlでも、そういった仕様のOEM製品を多く製作してまいりましたが、現在は基本的に一枚仕立ての仕様で製作しています。
裏地革の貼り付け加工をご希望の場合は、そのアイテム・個体・素材ごとの特性にあわせ検証することで製作は可能となりますので、個別にお知らせ下さい。

この個体に関してというか、全てのstovl製品では、曲がるチカラが加わる可動部分には、とくに裏側床面・裁断面の状態を見極め良質な部位を使っています。
革にとって、表の見える位置のキズの有無が最重要ポイントではありません。
stovlでは、この裏側床面と切断面の組成密度の良し悪しを、最も大切な製作ポイントの一つだと考え取り組んでいます。

これらの書いてきました件については、長く検証・研究していますが、明確な答えの無い部分でもあります。
時期をみて現在のstovlの見解を細かく解説してみたいと考えています。
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今回の製作は、ウォレットコードの金具も通常仕様と異なり、真鍮ブラス素材の物をお選び頂きました。
通常の亜鉛合金よりズッシリと重いのですが、より深いエイジングを期待できますし、磨きこんでブラスの輝きを楽しまれるのも良いと思います。


Λ.現在、ブルーのオイルコードバンの御予約を受け付けております。
在庫の革も少量ありますが、追加注文分の手配の都合で数ヶ月お待ちいただく場合もございます。

コードバン仕様での製品価格に関してですが、
革素材として比較しますと、通常皮革の3~4倍の価格となるハイエンドなレザー素材です。
手配の都合と製作するアイテム毎に使用する用尺と技術難度等で製品価格は変わってまいりますので、
個別にお問い合わせ下さいますようお願い致します。
素材価格が数倍するからといって、製品の価格まで同じような比率で変わるような事はありません。
通常革使用に比べればお安くはありませんが、なるべく抑えるよう努めてますので、ご検討下さい。
表だけコードバン仕様、フルコードバン仕様ともに受け付けております。

このコードバン素材の素晴らしさを感じて頂ければ幸いです。

是非。





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by stovlGS | 2013-11-11 23:38 | 長財布 | Comments(0)
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