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表情とか

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良質なところしか使わないと当たり前のことを繰り返し書いてきましたが、それは断面と裏面の繊維の絡みかたがしっかりしていることを主に言っています。
それはなぜかというと繊維が粗くあまい状態だと使用しているうちにフカフカとほぐれ気味になってしまうのです。
そういったテイストの製品ならばそれも良いでしょうが、ストーヴルの作りでは堅牢性も一つの持ち味ですし、やれてボロッとなったものを味と表現したくありません。
締まった革で作られた物は使いこんで小馴れてきたときの在り方が全く異なります。これは革の堅さ柔らかさに関係はなく締まっているかが重要なのです。
このほぐれづらい繊維状態であるかは製品をつくるうえで最も大切なポイントと認識しています。

今回の表情という部分は、表面に現れるシワやウネリのようなところ。
革って元々生き物ですから、部位や革の個体ごとによって表面の状態が異なります。

トラと表現されることもあるこのシワ、ショルダーからネックにかけて前半身側に現れることが多いのですが、その個体の年齢や大きさ・個々の肌質などでも現れ方はマチマチで全ての部分に入っていることもあります。

使用する革を適材適所つかえるよう裁断・配置することを重視し施工していますが、内部断面と裏面の状態だけで判断していくと表面のトラ部分にかかってしまうこともよくあります。
平滑でシワの全くない面を指定される場合を除き、色味や全体のバランス・配置箇所の可動部分か否か等、美しくたりえると判断した場合には、製品に入れ込むカタチで製作しています。

ストーヴルとしての見解でいえば、そのほうが表情が加わりレザー製品としてより良くなると感じています。
加工ではなく自然にできたシボですから、繊維状況が良好であると確認できた革に関してみれば風合い・質感ともに雰囲気ありと認識しています。

画像の個体は少し深めにトラが入った状態ですが革質自体は最高の部位でした。作り手として良質な部位と言いきれる革だったので、御注文主に了解をとり入れ込んでみました。
光の当たり具合で、より深くはっきり見えると思うのですが如何でしょうか。

※毎回裁断に際し大きな半身の革のなかで存在も多く困ってしまうのが、表面は平滑でキズ・スレ・シワが少ないのに裏面と内部・断面の組織が粗くて締まっていないところ。一見は上辺だけはキレイな革ですが、本来は可動し・強度を持たせるところには使えない革です。
世にある大量製産品や安い革製品はそのまま使われていたり軟質な樹脂を染み込ませて、ほぐれづらくして作られている物も散見されます。素材の部位選定に関しては作り手やメーカーの考え方によっても変わってくるところなので何が正解かはありません。
ただストーヴルでは現在の技法と製品構成上、それを良しと認識していません。

素材となってくれた牛や馬にたいして失礼な物言いになっていますが、どこか一部分でも宜しくない部位を使ったことで耐用年数が減ったり、傷みやすさを感じたユーザーさんが嫌になって早めに廃棄されることを想定しますと、素材には申し訳なく思いながらも良質ではないと判断した部位は端材と捉え製品には使っていません。
それら端材革はサンプル検証や他の用途で使っています。


表情については他にも説明したい部分が沢山あります。
キズのこととかウネリや革目の流れのことなど。分かりやすい画像がありましたら説明します。


Λ.やっと少しだけ余裕が出てきました。また少しづつ連投出来るようウズウズしています。

あと皆さんの気になられている価格についても、そろそろ記さなければですね。

今後ともよろしくです。












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by stovlGS | 2015-05-28 14:47 | Comments(0)
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