ハンター装備フルオーダー その3 シース2in1 完成

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また前回に引き続きまして、二本差しのシースについて。こちらでは完成後撮影した各角度の画像をお送りします。
上の画像はナイフ二本を収納しフラップを二つとも閉じているところです。
手前に見えているストーヴル留め方式の固定方法は、差し込みの変形とでもいいましょうか。ベルトを差しこむ前に、先ずstovl印の入ってるループにフラップを被せるように閉じてからベルトを差しこむことでシッカリとした固定が可能となります。
このままでも簡単に抜けてしまうことはありませんが、ベルトにはフック状の返しをつけていますので固定力とともに節度感のある抜き差しも実現しています。
このフラップは抜け止めの為だけではなくベルトに沿うようなカタチとすることで、ナイフのヒルト部分(指当ての突起)を包み込むように抑え込むことでナイフをより安定させる役割を担っています。
画像では内側になっているため説明しづらいのですが、フラップの端部分と裏面が、グリップからヒルトにつながる三次元のカーブに沿うように押しつけられることでナイフをシッカリ保持しています。
この辺のセッティングは本番の製作時だけでどうこう出来ることではありません。試作の時点で細かく調整・確認をして、はじめて実現出来る部分でありますから量産品ではむずかしいディテールともいえると思います。
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裏側の画像です。
このシースはデザインを優先に作られているではありません。ナイフに即した形状をもとに依頼主の御希望用件を考え合わせ素材とナイフに無理が掛からず使いやすいものとなるように組み合わせたものです。もちろんその限られた条件の中でバランスが良くなるように、ストーヴルのおまじないはかけてあります。この裏面のディテールが少ない表情をご覧頂ければお分かりいただけるのではないかと思います。
前回にも書きましたが、補修が必要になる可能性のあるベルトパーツ(フラップ/カブセ)の取り付け位置を外周部に配置することで、修理時のシース本体への負担が最小限になるような設計になっています。
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今回のシースは腰に吊り下げるかたちです。ブレードまわりは積層の組み合わせによりナイフ収納部が形作られていることで必然と剛性はありますが、グリップ部分についてはそこまで対策ができずブレード部まわりに比べますと剛性が低い事にかわりありません。
ナイフ2本の重さと過酷環境での使用を鑑み、グリップ部裏側からブレード部裏側にかけて添え木状の支えにもなるように「ベルト通し」自体を堅牢なブリッジのような構造にしています。
実際にこのベルト通しを付けたことで剛性確保ができ、革のしなやかさも失うことなくナイフへの形状追従性も確認できました。
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シース先端部は、湿度調整の意味と、埃やゴミの排出やメンテナンス時のことも考え合わせ必要最小限に開口しています。
もちろんブレードの先端から開口までは充分な距離を確保していますので安全性の意味でも問題ありません。
こう見ますと積層枚数が多いので1枚1枚の革が薄く感じられるかもしれませんが、そんなことはありません。
堅牢で厚みのある革を使用していますので御安心ください。
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重量について。
こうやって横方向から見ますと重たそうに感じられる方もおられると思います。でも実際には画像から受ける印象よりも軽い仕上がりになっています。
大きなナイフにも劣らない質感ですから軽い!っていう程ではないのですけど。
剛性確保と安全マージンの余白を持たせているところ以外は、ナイフ2本が収納できるように刳り抜かれています。
上の画像の段差部分のように、剛性とデザインバランスによって足すところと引くところを鑑み、機能の部分で必要のない積層部分は軽量化のために除く作業もしています。
このへんは、闇雲に減らせばよいというところではありませんから、物から受ける印象や表情に違和感が出ないように全体のバランスをみながら調整する必要があります。
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画像にあるstovl印のあるループについてちょっと説明。
画像では見えませんが、刻印と対面の位置、シース本体に縫い付け抑え込んでいる革のパーツの下側で、革がリング状になたった縫製箇所があります。そのことを御理解いただいたうえで、構造の特徴について少々。

このストーヴル留め方式の開閉構造を用いるときには、ループをシース本体に直接縫い付けてしまう事は致しません。一手間二手間ふえますが、補修性や使いやすさに直結する部分ということもあり外せないディテールです。
ループ部分が外側に一番出っ張っていますので一番擦れやすい箇所でもあり、傷んだ場合には交換がし易いように小さな帯状のパーツを介して取り付けるようにしています。このパーツも内側で糸が溝堀りにおさまり面一になる縫製法を施してありますのでブレードと擦れ合うことによる糸切れについても対策済みです。
この取り付け方の有効性は他にもありまして、この一つパーツを介することでループが円状に形作られるためにループ自体に立体感が生まれ、フラップとのに嵌め込みもしやすくなり操作性がより良好に。
また、抜き差しにおける節度感の調整をこのループの円周や革素材の厚みの変える事によって行うことも出来るのです。
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完成時全景です。
今回の個体、ナイフシースとしては異形と思われてしまうかもしれません。
また作り手としては奇をてらったという意識はまったくなく、
前にも書きましたが、ナイフの形状と必要要件に沿って、
素材と使い手に負担が掛からないように嘘のない製法と構造を考察していきますと
自分としてはこのような形になってしまうことが多いのです。
機能を満たすことは当たり前のこととして、カタチについていえば使う方の好みから大きく外れてしまうことは正しくありません。やはりルックスは最も大切な条件、気にいって頂けなければ本当の愛用品にはなれないということですから。
結果としてそれが依頼主のお好みにあえば、これほど幸せなことはありません。

もし、御興味ある方がいらっしゃればシースの御注文承ります。
もちろん一般的なディテールのシースもお作り出来ます。
開閉をつかさどる留めの構造につきましては、ナイフの形や大きさによっても適した方法がございます。当方で言うところのストーヴル留めが一番良いとも思っておりません。シンプルな構造や方式の一般的な方法で作られた物でも、一手間加えればより安全で傷みづらく作ることが可能です。
そのようなことからもシースの形状やディテールについては、ナイフの画像を拝見したうえで御希望の形のものが出来るか判断させてもらえればとおもいます。
どのような場合でもいえるのは、安全と思えるものしか承れません。
以上、長くなりましたがシースについてでした。

またまた、続きまして他の装備品についてもお伝えしたいと思います。
是非もう少しお付き合いくださいませ。











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by stovlGS | 2017-10-26 03:17 | ナイフシース | Comments(0)
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