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長財布 コードバン バーガンディ 仕様変更オーダー

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先日、コードバンの回でお伝えしたとおり、コードバンを使用したレザーウォレットや小物についても今後載せていく予定です。是非、仕様検討の御参考や比較材料に御覧ください。

ストーヴル定番の長財布には二つありまして、今回はショートタイプではないほうのフルサイズ版【ロングウォレット】のカタチをもとに、お客様の御要望で外装内装ともに仕様を変更したオーダー品になります。

・外装部の革の素材と色の変更 ヌメ革⇒コードバンの外装に
・内装部のコインスペース⇒カードスペース的なマチつき多用途フリースぺ―スに変更
・内装部、紙幣スペース上に幅広のフリースぺ―スを増設
・外装革の内装側に裏地革張り込み補強

今回のオーダー品の変更箇所4点について順番に解説いたします。

通常版では素材にヌメ革(サドルレザーという呼称の場合もあります)を使用している物が基本になりますが、この個体は外装部分をバーガンディ色のコードバン素材、内装部分にはブラックカラーのヌメ革をお選び頂き、ツートーンカラーのお財布に仕上げました。
縫製糸については、どちらの素材の色にも馴染むことを前程に幾つかの色を検討してダークブラウンに決定。革の堅牢さに負けないようにサドルステッチ技法でシッカリと手縫いしています。
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画像では斜め気味に写っていますが、向かって左側が並列配置のカードスペースのまま、右側は本来コインスペースですが多用途フリースペースに仕様変更しています。

御依頼のお客様はコインパースを別に御使用になっているとのことで、硬貨の収納はそちらに任せて、ロングウォレットのコインスペースを別用途のスペースに。通常サイズのカード収納だけに特化した物にするのであれば、ステッチやパーツの切り替えを多用し仕切りを設け個別の部屋をつくる方法もありますが。逆にお財布の幅いっぱいにスペースを確保したほうが使い方の自由度が増し複数枚収納可能になる場合もあります。それらも含めた幾つかの方法を御提案させていただきまして、今回はこの形に決定しました。
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ガバッと大きく開口しますから奥まで見渡せ収納物を容易に目視確認できます。開口する動きのあるパーツには屈曲に耐えうる良質材を部位選定し配置します。この部分に限らず革製品を形作るうえで大切なのは、組み上げ後のパーツ配置を見こした裁断工程をすることを忘れないことです。

通常よくある両サイドに扇型を折り畳んだ形のマチではありませんから、閉じた状態で表側に段差やアタリが出てしまうこともなく、自然とフラットに落ち着きます。長財布型においては、平滑さと厚みが使用感やスマートさに直結する部分ですからマチ構造の選定は大切です。

画像ではわかりづらいかもしれませんが、紙幣スペースの上側にシンプルなフリースぺ―スを増設しています。
このスペースにマチはありませんが、大きめのカードやレシート、出先で頂いた名刺等など収納することが出来ますし、紙幣を二つのスペースに分け収納する場合などにも便利です。定番型のお財布にプラスアルファの補助的な増設として多くの方にオーダー頂いている仕様変更です。

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最近よく採用頂くディテールの一つ。外装部分の内側全面、内装側から見ると屈曲する中心部分に見えている箇所に裏地革を張り込む加工です。見た目も豪華になりますし、うまく施工すれば補強の意味でもメリットがあります。ただこの可動屈曲部分は革製品において傷みの出やすい箇所でもありますので、シッカリとした施工が大前提となります。

この課題には明確な答えがなく、それゆえ考察も無しに簡単に施されている部分でもあるのです。裏地革の張り込み工程は、殆どのメーカーが行っている加工ですが、ここの作りかたひとつで使用感も耐久性も大きく変わってしまいます。
補強にもなれば製品寿命を縮ませかねないディテール箇所です。

今まで当方ではOEM量産も含め相当数この工程部分を作ってきましたが、毎回が勝負でもありました。革の硬度や伸び率・質感や接着強度・アイテムごとの屈曲角度等々検討ポイントが多く、それにあわせて厚みや伸び方向も計算する必要があります。

シッカリとした対策施工ができないのであれば意味のない箇所だとも考えます。裏地革を張るか張らないかに関係なく、もとより屈曲箇所には良い革の更に良質部位を使わなければなりません。

考察は、またいつかあらためて。。
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今回のレザーウォレット、いかがでしたでしょうか。
画像露出的に見えづらい部分もあったかもしれません。どうしても黒を黒らしく革の質感も表現するのは素人撮影ではむずかしいものですね。
この個体自体はコードバンを使用していますが、ヌメ革(サドルレザー等)等での製作はもちろん可能です。
各仕様変更の組み合わせや御相談はどうぞ御気軽に。
下記リンクもよろしくです。




Λ. 戯言を少し。
最近ストーヴルにしては更新が多いとお思いの方もいらっしゃるかもしれません。正直言いまして少し考えをあらためまして、作るだけではなく見て頂くことも大切と痛感しております。今までそれなりに長くお仕事として革製品を作ってきた私ですが、製品の御紹介や製作記をlogに載せるのは何処かこそばゆいものがありまして更新が滞ってしまっていたような気がします。まぁ無精者ということが一番の要因なのですが。

今更なことではありますが、それではいけません。活動報告をして沢山の方に御覧頂いて、今までstovl製品やOEM製品をお使い頂いている方々にも誇らしく思って頂けるメーカーにならなければなりません。構造や製法には今まで嘘なく取り組んできたつもりではありますが、より良いメーカーになる為にも。

企業向けの生産や対面販売等を経験してきましたが、インターネットで直接ご依頼いただけるようになり、昔想像していたのとは異なる印象を持つようになりました。注文生産やオーダーによる製作が多い私共のような作り手にとりましては、旧来の生産/販売形態よりも、御客様との意思疎通や信頼関係は良好なものになっていると感じています。

外から見れば通販としてとらえられるのは当然なわけですが、実のところ通販とは一番遠いところにあることと感じています。また遠方のお客様とやりとりするうち、距離は関係のないことも確認できました。

私自身も幼いころから革が好きで本革(笑)のレザープロダクトへの憧れを持ち続けてきましたので、革好きな方々のお気持ちはわかりますし、革製品の選定において失敗やガッカリを感じてほしくはない思いが強くあります。
うちの製品が良いですよといっているのではなくて、他所様の革製品を選ばれるときでも構いませんので、当方の拙い革の知見を参考にして頂いて少しでも良い選択が成されることを願っています。

「売る側と買う側」というより「作り手とユーザーさん」という感じで、気分良くお使い頂ける物をつくり続けられたら嬉しいですね。







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by stovlGS | 2017-11-23 20:30 | ロングウォレット | Comments(0)
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