先月のこと、本田技術研究所二輪R&Dセンターのイベントに行ってきました。 ここはホンダのオートバイの研究開発の拠点であって同じ敷地内にホンダレーシング「HRC」もありまして、 バイクフリークにとっては聖地のような場所でもあります。 なので訪れている人の多くはモーターファンというよりも近所の家族連れが多く、子供や親子向けの体験ものやグルメ屋台など大盛況でした。 でもでも、そこは流石のホンダさん。 展示されている物は、市販車だけではなく二輪と四輪のレーシングマシンから発電機や船外機、飛行機のジェットエンジンまであります。 貴重なレーサー車両のF1カーやモトGPマシン・ツーリングカー仕様のNSX等にも見るだけでなく、跨いだり乗りこむことが出来るという寛大さ。 本日お話しするのは、そこで展示されていたエコラン(燃費レース)用の車輛について。 エコラン車を近くで見る機会は20年以上ぶりだったこともあり、自分の認識とは随分と異なる世界になっていることに驚きました。 先ず上の画像ですが、車輪に動力を伝える歯車スプロケットです。 自転車やオートバイが好きな人にはおなじみの部品。 ふつう軽量化する場合、先ず素材を軽いものに置き変え、穴開けによる肉抜き加工をするのが一般的な方法だと思います。 ところがこのスプロケ、チェーンが掛かる山部分と固定ネジのホール部分の厚みは其のままに、全体を薄く削り込んでいるんです。 この方法は他では見られない軽量化の仕方だと仰っていました。 美しい。って思いませんか、皆さん。 話が前後しますが、 この車両はホンダさん自体が作っているというのではなくて、 社内の方達が仕事の時間外で作って参戦しているとのことでした。 なのでホンダのマークはついていません。 それでも作られている方々の頭脳と技術は、それはアレですよ。すんごいということです。 自分の認識では、燃費レーサーはカブ系の横型エンジンをベースに作りあげるのが基本と思っていましたので、エンジンを見てまた驚きました。 それも見慣れない形状、CB50系のエンジンでもなさそうです。 その辺のことを伺ってみると、スクーターのトゥデイのエンジンをベースにしているとのこと。 驚いたのは排気量もフルサイズの50ccではなくて、38ccにボアダウンされています。 冷却フィンがありません。なんとスリーブがむき出しの感じになっていて、なにやらチューブ状のものがスリーブに巻かれています。 シリンダーヘッドの上に樹脂製のカバーで覆われています。 普通エンジンは冷却されるのが当たり前と思っておりましたが、この競技車両においては保温を重視した構造に作られているのです。 エコラン(燃費レース)では、アクセルオフというか燃料をカットして惰性で走る時間があるので、 その間にエンジンが冷えてしまい燃費に影響するというようなことを仰っていました。 その為にエンジンの温度管理がとても重要課題なのですねぇ。 トゥデイのノーマルヘッドをベースにしたものではなく、一から作ってしまった物のようです。 細かいことはわかりませんが、バルブ径や挟み角、燃焼室の形状などが理想的な設計と適材で作られているのでしょう。 この画像の一つ上の画像にも下のほうに写ってまして、バルブスプリングやカムシャフトの軸受け側が見えます。 このシリンダーヘッドだけで、「自動車一台分」の製作費が掛かっているとかいないとか・・。 なんともスゴイ世界です。 でもでも、一番感じたのは、突き詰めて作った物の美しさとか、 それに携わる方達の楽しそうな表情が良いということ。 私まで嬉しくなってしまいました。 この小さな車の本気度と精巧な作りに感銘を受けました。 カッコ良さや完成度が高い物には、心を穏やかにしてくれるチカラがあるようです。 Λ.川越からほど近い荒川の河川敷に【セーフティーパーク埼玉」通称オケガワと呼ばれたモトクロス場がありました。 もう三十年くらい前に現在のレインボーの舗装路のところだったか滑走路だったか記憶があいまいになっていますが 【本田宗一郎杯】と題した燃費競技大会を見かけたことがありました。 本田宗一郎さん御本人もいらしていた記憶もあります。 今でもそうなんですが、入間川から荒川にかけては私のバイクトレッキングのコースでして、 お散歩がてらフラっと走りに行くと、旧セーフティ―パーク埼玉周辺を通りかかります。 80~90年前半くらいまではオケガワは盛り上がってましたから、 休日にはモトクロスやエンデューロの大会がいつも開催されてましたし、 平日にたまたま通りかかるとワークスマシンの試乗インプレの取材撮影や、 スーパークロスライダーの走行等々、 あれまぁという場面に偶然出くわしたものです。 今回、研究所で燃費レーサーを見て、昔のことを思い出しちゃいました。 時代は確実に進化の方向に変わっていっているようです。 現在は茂木のコースで開催されているとのこと。 機会があれば次の大会の時に実際に走行しているところを見てみたいと思います。 .
by stovlGS
| 2017-12-07 23:48
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Comments(2)
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T山
at 2017-12-08 08:23
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ご無沙汰しております。
朝研でこんなことやってるんですね。知らなかった! エコラン(当時’84~’85年くらい)桶川でやってたの見たことあります。 自分もその時宗一郎さん見かけました。いやー、後光が差して見えたのを 今でも覚えています。 18歳の時に交通教育センター・レインボーでお昼休み時間に教習車のCB750FC を1時間貸してくれたので、10回くらい自由練習しに行ってました。その頃岩槻に住んでいましたが、CB50Sで通ってました。懐かしいな。 燃費を考えてボアダウンの件、やっぱり!と思いました。 JA07からの新型スーパーカブ110は、あえてフルサイズの125ccにしないのも 燃費を考えて110ccじゃないかと思ってました。 それにしても、この技術者の方々、お金にならないのに本気で取り組む姿勢が いいですよね~。さすがHONDAのエンジニアです。
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stovlGS at 2017-12-08 15:43
T山さん。こんにちは。
そうなんです。朝研のお祭り面白かったですよ。 バイクの駐車場所もあるみたいなので御興味ありましたら来年あたり是非。 ボアダウンの件は、新鮮な驚きというか嬉しく感じました。排気量アップばかりのチューングの世界をみるにつけ疲れてましたから。 市販車であれば法規制や環境基準をクリアしながらコストも考えなければならず、そうやって生み出された物には沢山の答えが詰まっている結果だと思うのです。 世界一の頭脳集団がしているということには、何かしらの深い意味があるのでしょう。 新型のクロスカブが気になっています。 シリンダー周りに新たな処理加工がされているようで興味あります。 昔のオケガワが懐かしいですよね。 厳密に言えば川島町という意見も聞きます。 見ようによっては寂しい河川敷ですが、あそこから世界のオフロードシーンに繋がっていたと思うと感慨深いです。
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