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「茶芯」ならぬ「生成り芯」ヌメ革 後染めについて

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ブラックやブラウンのレザー素材を使う場合、表面から裏面まですべてに染料の入った「芯通し」染めのものを採用しています。
今回御紹介するのは、それとは異なる「後染め」の革について。
ここで云う後染めとは、鞣し終わった革素材の表面を染色した物をさします。
上の画像は専門の染め屋さんで染め加工をしてもらったものを荒断ちした状態。

※個々の御希望をうかがって染色加工するため通常在庫の革ではありません。
 現在は大物製作やバッグなど特注品等のオーダー時にのみお選び頂ける染色方法になります。

題にしている茶芯とは、表面が黒でコバ(端の断面)が茶色の物がそうよばれ、とくに靴(ワークブーツ等)の世界では人気のようです。
ワーク・エンジニアブーツに多く使われているクローム鞣しのオイルレザーですが、本来クローム鞣しの革は紫外線や温度による焼け等の変化が少ない傾向にあります。味が出ていると感じるのはオイルによる色の深みやシワの入り方などによって雰囲気が増していくことが良いエイジングとされているのだと思います。(私も好きなテイストです)

今回御紹介している「後染め革」はフルタンニン鞣しのヌメをベースにしていますから、ヌメ革ならではの特徴といえる経年変化により色焼けが進み、
「生成りのベージュ~焦げ茶芯」へと年月とともに味わいも増していきます。

表面だけを染めつけた状態なので、製品に仕上げたときにもツートーンカラー的な表情をお楽しみいただけます。
画像では艶消しの黒に見えていますが、これは素上げのヌメに染料が入ることでマットな表情になっています。製作時に磨き込むことで艶のあるブラックレザーに変化します。

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染色のベースになっているこのヌメ革ですが、実はこの革自体がかなりの良質材なんです。
みためのキレイさだけににとらわれず小キズやスレまで味にしてしまうヌメ本来の強さがあり、張りがある中に粘りと柔軟性まで兼ね備えた革素材です。
あえて欠点があるとすれば少し重いということくらいでしょう。
油分を多く含み鞣しが深いので、ずっしりとした質量感。通好みの素材といえるでしょう。


元々この革は10数年位前までメインに使用していた革の一つで、その手配先が取扱いをやめたことで当方も使用を休止していた経緯があります。
その後2010年頃からヌメの良質材のとくに厚みのある物の確保が課題になり、新たに定番になる革のバリエーションをずっと探してきました。
構想の中で、この革を再度使用することを検討してきたのですが、いろいろあって手配出来ない事情もありました。
※革業界のわかりづらい慣例のようなもののせいもあったと思います。

そうこうしていた一昨年頃、別件で十数年ぶりに伺った取り引き先で、その革のことを何気なく話したところ、「そのタンナーさんの革ならありますよ。」という驚きの巡り合わせがあり。それに加えて半裁でならば染色(後染め、生成り芯の表面染め)についても取りついでくださることになったのです。御縁に感謝ですね。
おかげ様で安心して作り続けることが出来そうです。オーダーの仕様の幅もひろがりました。

是非皆様にも感じて頂きたい革素材です。


Λ.この革で製作したリアバッグについてレポートする予定です。
 コバ色の変化もお楽しみに。








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by stovlGS | 2018-01-05 23:04 | Comments(0)
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