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フォールディングナイフ シース新造オーダー 完成

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フォールディングナイフのシース新造オーダーのつづきです。
上の画像は左から順に【純正シース・完成版・試作サンプル】になります。

前回お伝えしたサンプル試作を経まして、お客様へ納品するシースが完成しました。

今回のナイフ自体とても素晴らしい品質の物ですが、純正シースは合皮だったこともあり擦り切れてしまっています。

ナイフ全般にいえることですが、高品質なナイフだとしでもシースやケースは、本革を使用しているいないに関わらず、それなりの作りの物が多いと感じています。
純正で良質なシースも存在しますが、使い方によっては早めに傷んでしまうことがあるので、良いものは尚更に大切にされてください。
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こちらが納品用の完成版。
御依頼主御希望のチョコブラウンのヌメ革を使用しています。
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縫い糸は、ブルーです

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じつは、このシースの裏側にはブラックのヌメ革を使っています。
そのため、ブラウン・ブラック両方の革色と糸色の相性を考慮する必要がありました。
幾つか候補に挙がった色の中から、差し色としても美しく映えるブルーの糸をお選び頂きました。
定番的なものではありませんが、当工房ではたまに使う色合わせ。相性も良好でお薦めです。

いつも記していることですが、複数の革色を一つの製品の中にを組み合わせるときには色移りの問題がありますが、パーツの配置や使い方を工夫することである程度は防ぐことが出来ます。
今回のように縫いシロ部分だけが接している状態では、色移りのリスクは更に少なくなりますので、あまり心配しないでお使い頂けると思います。
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完成版のシースの上に、試作サンプルを載せてみました。
下になっている完成版のほうが数ミリ長くなっているのがお分かり頂けるでしょうか。
この数ミリに大きな意味があるのです!
試作工程がなければ辿り着くことのできない厳密フィッティングの一例です。

ここに至るまでには、純正シースの検証と、この試作サンプルをもとに検証を行い、ベストな長さ・深さを見つけだし、もう少し深くしても抜き差し出来つつ使用感も良好であることを確認しての改善です。

深ければそれだけナイフは守られますし安定した装着にもなります。
ただこの【深さ・長さ】は使用感的なことだけで決まるのではなく、見ためのバランスも考慮しなければならず、それほど簡単な作業ではありません。

何かに合わせて、収め処やケースなどを作るということは、その内包物の形や使用要件に従って形状や数値を見つけ出すことでもあります。とても時間と手間の掛かる作業ではありますが、使いやすく安心できるものに仕上げるためには必要な道筋なんだと思います。

でも、それを見つけ出し、作り手の判断で全体の数値や意匠やシルエットを決定することは本当に難しい。
仕上がっても、それが御依頼主のお好みに合わなければ意味は半減しますからね。


それっぽいもの(単に用を為すもの・ルックス的に格好のいいもの)であれば、割と早く完成させることはできるんです。
でも、考えうる限り最良の物を作るっていうのは、そう単純なことではありません。
そこは残念ながら、量産品には実現出来ないことかもしれません。
うん出来ないなぁ。


縫いシロに関してもコンマ数ミリ追い込んで、強度を保ちつつ針目ピッチを細かく美しく縫製、シルエット的に余裕のある遊び部分は無理がない程度に削り込んで、完成に近づいていきます。

クリアランス調整も詰めていますので、差し入れるときにはパチッとした節度感を得られ、より良い装着感も実現できました。
※この節度感のあるフィーリングは革が馴染んでいけば変化するので、それもある程度見越した造作が必要になります。
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今回はシンプルに二枚構成でつくりました。二枚の革でナイフを挟みこむ、いわゆるモナカ合わせの構造です。
緩やかに徐々に厚みを増すナイフや刃物とは異なり、フォールディングナイフのようなグリップ内にブレードが収まる構造の場合、あらかじめ二枚合わせで縫製した物に差し入れて立体加工をする方法では、シッカリとした造作は不可能です。

これだけ厚みがある物で緩みがほぼゼロに近く、使用感を損なわない物を実現するには、それぞれパーツの状態で立体化を施してから組み合わせ造作する必要があります。

副次的な効果として、厚みのある二枚合わせの立体形状の場合、縫製ラインが段差のある凹んだ位置にきますから、縫い糸が何かと触れて擦り切れてしまうといったことも避けられます。

今回は色からの選定で化繊糸を使用しましたが、麻糸などの擦り切れやすい天然素材の糸にも適したシース形状だともいえますね。
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以前にも記しましたが、シンプルなものほど奥が深いというか、普通に仕上げるのが難しかったりします。
やっぱ作り手としては少しでも良い方向に進みたいものでして。

少し前までは、殆どこっちの思いで完成度を高めるべく試作工程を経て作りあげていました。(今もそうですけど)
試作することによって多少お値段が変わりますが、小さくシンプルな物だと相対的に割安という感じにはなりませんから(極端な例:3千円のナイフにその数倍~の価格のシースやケースでは心情的に御注文しづらいでしょうし、私もお見積もりを出しづらいです)お客様によってはお値段は抑えて良いものが作れればと思われる方もいらっしゃるでしょう。
少しでも価格を抑えたい方には細かな試作工程のない作り方も出来なくはありませんが・・。
セッション的に一発勝負の作りといいましょうか。
まぁ、そのような御希望がありましたら、細かな説明等についてはお問い合わせください。

嗜好品や心の拠り所となる革製品等は、後々小さな差が大きな差となって表れる世界です。
その辺も含めてなにを重要視するかということも選定の基準にしていただければと思います。

一つ言えるのは、出来るかぎり良いものになるよう取り組むということはお約束できます。
簡単にその辺で購入出来るものより良いものにならなければ当方の存在意義はないのですから。

製品の良し悪しは信じて頂くしかありません・・。

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実際、試作サンプル品でも、純正品以上には用を成します。

でも、その先の世界を感じてみませんか。

御興味あれば、是非。


※.基本的には試作サンプルは納品いたしません。当工房としては革もそれなりの部位を使用し作りこみも程々です。
 検証用として作っているので、目印やばらした痕があったりします。


Λ.なんかこういうの書いてますと、「うちのは良いものですよ」っていっているようで。(本職なので、そうなんですけど・・)
 でも、なんともいえない気持ちになりますね。

 手抜きやズルいことだけはしない自負はありますので、皆様御勘弁くださいませ。















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by stovlGS | 2018-07-05 23:51 | ナイフシース | Comments(0)
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